J12は、ココ・シャネルが愛した白と黒の、美しい時計です。
時をテーマに、3つの物語を作ってみました。
CHANEL J12「幸福な時間・時の影」
NA:J12。
〜(M)〜
NA:
男は、成功者だった。
若くして、全ての物を手に入れた・・
いま、白い天使が現れて、その輝かしい人生の場面を
ひとつひとつ見せてくれようとしていた。
それは、よりよく生きた人間への
ご褒美なのだろうか。
よく学んだ日々。
挑戦し続けた日々。
結末を自由に選びとることのできるゲームならば
その最良のコースを男は選び、生きたのだ。
しかし、すべての時間を反芻しながら
なぜか男は、むなしかった。
ただ、白く乾いた道が、
延々と続くように感じたから。
そこで、悪魔があらわれた。
人生で、たった一度の過ちを、
男に、思い起こさせる為に。
暗闇に浮かんだ、あの白く細い手首。
切ないほどの愛おしさを感じて
思わず、その手に触れた。
それから過ごした、あの一日。
男は、その罪に癒された。
あの時間が・・あってよかった・・
純白の人生に、素晴らしい陰影を感じて
男は満足した。
そして、微笑んで目を閉じた。
永遠は、この白と黒の中に。
シャネルが辿り着いた,普遍。
ハイテクセラミックウォッチ、J12。
CHANEL。
CHANEL J12「幸福な時間/二つの時」
NA:J12。
〜(M)〜
NA:
男は黒い時計を見た。
女は白い時計を見た。
時々二人は,同じタイミングで
同じ動作をする。
そのことに気づいたのも
二人同時だった。
気持ちのいい風が吹いて
こんなに幸福な時間は、久しぶりだった。
忙しい日常は、遥か彼方へ消え、
真夏の白い光が、一秒一秒までを、
輝かせているようだった。
初めてあったときから
二人は惹かれ合う何かを感じていた。
その気持ちを、言葉にする必要は無かったし
言葉にするのは、難しかった。
男は、遅れて生まれてきたから。
女が生まれた、何年も・・何年も・・ずっと後に。
一度も人生を後悔したことの無かった女は
少しだけ、時計を巻き戻したいと願った。
一度も人生を生き急いだことのない男は
少しだけ、時計を進めたいと願った。
やがてその願いは叶った。
宇宙の時間の中では、
2つの時間は、ほとんど重なっていることに
二人が、気づいたから。
永遠は、この白と黒の中に。
シャネルが辿り着いた、普遍。
ハイテクセラミックウォッチ、J12。
CHANEL。
CHANEL J12「幸福な時間/時の粒」
NA:J12。
〜(M)〜
NA:
その少女の中では、
一ヶ月は、永遠にも等しかったのだ。
本当の永遠とは何か、
男は波に揺れるヨットの上で、少女に語りはじめた。
ほら、あの海岸線を見てごらん。
あそこお城があるとする。
その中は、小さな芥子の粒でいっぱいなんだ。
そこから100年に一度、一粒を取り出す・・
100年に一度、一粒・・
100年に一度、また一粒・・
そうやって、全ての粒が無くなっても、
まだ終わらない時間・・・それが永遠なんだ。
それは、時の長さを語る、ある逸話だったが
話し終えたとたんに男は、
その粒を運び続けているのが、自分自身のような気がして、
砂を噛むような気持ちになった。
一ヶ月の夏休みが、
いつまでも続くかのように思えた、少年の頃。
いや、海で過ごした、たった一日にさえ
永遠を感じた。
あの時間を取り戻す為に
できることは、まだあるのだろうか?
男は、黒い時計を見て、眩しい水平線を見た。
永遠は、この白と黒の中に。
シャネルが辿り着いた、普遍。
ハイテクセラミックウォッチ、J12。
CHANEL。